吉蔵「室礼展」の歴史

吉蔵の個展「室礼展」は、もう15年以上の歴史があります。 家具だけを見て頂くだけでなく、家具のあるシーンを楽しんでいただく。 「四季の風情を添えて・もてなしの心をこめて」 日本人の奥床しい感謝の気持ち「しつらい(室礼)」をテーマに展示会を企画しました。


第一回目は1994年4月、焼津市の柳屋ギャラリーにて。 地場産業の小さな家具屋が、地元でしかも単独で展示会を開くことなど、ない時代でした。 しばらくして、家具が展示出来る比較的大きなギャラリーが静岡に在ることを知り、 1997年、しずぎんギャラリー「四季」で「室礼展」を開催。 以来今日まで、静岡での展示会はここを中心に行ってきました。 バブルが終わって、それでもまだ好景気だった2000年。 吉蔵は、親しくしている「創房荻須」さんと、大胆にも東京での展示会を計画。 120㎡の広さ、東京駅八重洲口から高島屋に向かう桜通に面した「田中八重洲画廊」という絶好の場所。 普段見る機会がない指物家具を楽しむお客様で、連日賑わいました。 2000年・2002年・2004年・2006年と、隔年4回開催。 東京で花開いた「吉蔵・室礼展」はやがて、日本橋三越の定例個展開催に繫がっていきます。


「室礼展」という名前を変えた時期があります。 2005年から2回、より工房の色合いの強い「指物吉蔵の仕事」というタイトルでの展示会。 「伝統技術とモダンデザインの融合」をテーマに、現代における指物家具のあり方を発表しました。


会場をギャラリーでなく、生活空間での「室礼展」も計画しました。 2008年、静岡の名園「紅葉山庭園」での展示会。 静謐な和空間と、端正な指物、時節の花と器。 茶室での一服のお茶とともに、至福のひとときを味わっていただきました。 こうして、多くのお客様に御来場いただき、楽しんでいただいてきた「吉蔵・室礼展」。 やっと秋めいて、すこしづつ心と体にゆとりを取り戻した今日この頃。 おまたせいたしました。 年月を経て、皆さまに御愛顧いただいている「室礼展」。 今年は明日(17日)からです。


指物吉蔵 秋の室礼展 <祈りのかたち・こころの在りか>   期日 9月17日(金)〜21日(水)      午前10:00〜午後5時   会場 しずぎんギャラリー 四季      (アゴラ静岡 7F)