静岡のレガシー、「浅間神社」と「臨済寺」をめぐる。
10月24日、昼は浅間神社へ、夜は臨斎寺へ。
静岡市の代表的な社寺体験の貴重な1日でした。
浅間神社で行われた「オクシズ漆の学校」第1回。
今回は静岡文芸大学の先生が講師となって、
日本の漆文化の解説と、漆塗りの改修が終わって
12月の通初めを待つばかりの浅間神社桜門他の見学と説明が行われた。
祖父、父、私と三代静岡にいる我が家に取って、浅間神社は身近すぎて、
これほど価値ある文化財だとは思っていなかった。
五十六の神々が鎮座する浅間神社。
神戸(かんべ)、浅間(せんげん)、大歳御祖(おおとしみおや)、
麓山(はやま)、八千戈(やちほこ)、小彦名(すくなひこな)、
玉鉾(たまぼこ)、
の名前がやっと覚えられえた、s七つの神社の総称が浅間神社。
まずは大歳御祖神社から始まった平成令和の大改修が
小彦名神社を経て、楼門まで終了した。
漆塗りの文化財は日光のある栃木県(90棟)に次いで、
浅間神社、久能山東照宮を持つ静岡が36棟の静岡県が2位とか。
ただ、漆は直射日光に弱く、2年前に済んだ小彦名神社を
見ると分かるように劣化が激しい。
それでも文化財として貴重な部分はたくさんあり、
解説の先生の説明に一つ一つ頷くことばかりだった。
私の生きている間に7社あるすべての神社が蘇る姿を見ることが出来るか。
それだけでも長生きしたいですね。
さて、その日の夜は「臨斎寺秋の特別拝観と修行体験」に参加した。
僧侶の修行道場として有名な臨斎寺は浅間神社ほど親しみはないが、
格調高い禅寺として、一度は座禅体験をしたいと思っていた。
今回はわずか15分の座禅体験だが、
社内拝観とともに坐禅を味わえるプランだったので参加した。
賤機山の山腹にある臨斎寺は実際に奥まで案内されると、
街中にあっても山寺のよう。
灯篭に照らされた階段を登りつめると本堂がある。
まずはその方丈の間で香を炊き、写経を試みる。
座り方や手の組み方など説明があるが強制はなくゆるい坐禅の時間だ。
警策(棒)も、自身が気が散った時などに自主宣告していただき、
折れることもある警策とは程遠く、降ろしてなでる程度のもの。
体も揺れ動かず、思っていたほど長くない15分だった。
後半は寺院内の拝観。
有名な岩が多い庭園、徳川家康少年時代(竹千代)が学んだ部屋、
最上階にある茶室など、華やかではないけれど書院造りの見事な建物を
回遊して説明を受けた。
浅間神社も臨斎寺も静岡人にとっては馴染みの社寺だけれど、
それほど重要視されていない。
本当は、ともに由緒ある世界に誇れる日本の文化遺産だと再認識できた。
歌集「滑走路」を読む。
18切符で南信州・その時のハプニング
改札口の乗務員に聞いたが届け出がないという。
そのうち彼は私が乗ってきた列車が
まだ止まっているから確認してきたらどうかという。
列車を降りようとした時、ドアがす〜と閉じた。
大声で言ったら、
運転手は気付いてドアを開けてくれた。
間一髪、ご迷惑かけてスミマセン。
七夕の夜、謡「楊貴妃」を練習する。
梅雨の真っ只中、雲に覆われ天の川は見えないけれど、
せめて鬱陶しい気持ちを晴らす愛の物語をと、
謡の先生が「楊貴妃」を選んでくれました。
(画像は「としま能の会」昨年7月の公演のポスターです)
能「楊貴妃」
亡くなった楊貴妃の魂の行方を尋ねよという玄宗皇帝の命令を受けた方士が
仙郷・蓬莱山に至ると、そこでひとり過ごす楊貴妃と出会う。
玄宗の言葉を伝えた方士が、貴妃に出会ったという証拠を所望するので、
貴妃は自分の釵を与えるが、それでは確かな証拠にならないと方士は言い、
玄宗と貴妃とが生前に言い交わした秘密の約束を教えてほしいと言う。
貴妃は二人だけの秘密の言葉を教えると、帰ろうとする方士を呼び返し、
かつて宮廷の遊宴で舞った舞を見せようと言う。
貴妃は玄宗との思い出を語り、優雅に舞って見せる。
やがて方士は帰ってゆくので、貴妃はそれを見送ると、
涙に伏し沈むのであった。
この能のハイライトは七夕の夜、
織姫と彦星に向かって誓う二人だけの愛の言葉。
「天に在らば願わくは 比翼の鳥とならん
地に在らば願わくは 連理の枝とならん」
天に在れば、いつも羽を並べて離れない鳥となろう
地に在れば、いつも枝を連ねて離れない木となろう
今回私は楊貴妃を尋ねるワキ方の方士後半を受け持つことになりました。
玄宗皇帝の嘆きを楊貴妃に伝え、出会えた証拠を皇帝に持って帰りたいと訴える。
そのシテ(楊貴妃)とのやり取りは、絶妙の呼吸が必要とされるそうです。
ワキはシテの哀れ、悲しみを浮かび上がらせた後、
さらに舞を披露するシテの美しさを引き立たせる大事な役。
8月のおさらい会まで、どこまで役作りが出来るか、
今夜のお稽古、頑張らなくては。
連休中、”STAY HOME ” でじっくり読んだ本
5月の連休のしばらく前、コロナの影響下”STAY HOME”が推奨される中、
何年か振りに静岡県立図書館へ行ってきました。
桜が終わり、新緑が美しい谷田の丘陵にある静かな図書館と県立美術館。
残念ながら「きたれ!バウハウス」の企画展が開催中の美術館は休館中でした。
私が本を借りに行った図書館もその後休館になるのですが、
その時はまだオープンしており、少々古いけれど落ち着いた館内で
ゆっくり蔵書を眺めていました。
関心があるのは、
1、学生運動が盛んだった1960年代を描いた政治的な本。
2、今、世の中を震撼させている感染病に関する本。
3、読む本ごとに新鮮な空気に触れさせてくれるジェンダーの本。
そして、以下の3点を借りてきました。
政治的な本→「1968年 無数の問いの噴出の時代」
感染病に関する本→「四千万人を殺したインフルエンザ」
ジェンダーの本→「BLが開く扉」
「1968年 無数の問いの噴出の時代」は2017年10月に千葉県佐倉市にある
国立歴史民族博物館で開催された特異な企画展。
70年安保前夜、大学封鎖など学生運動が盛り上がった1968年の
政治的な動きを膨大な資料で語った素晴らしい展示会だったそうです。
静岡から遠いことと、私がその企画展を知ったのが終了間際だったため、
行く事叶わず、せめて図録でもと求めたのですが、すでに完売していました。
探して探してやっと県立図書館にある事を突き止めました。
本展は、1960年代後半に日本で起こった、ベトナム反戦運動や三里塚闘争・水俣病闘争などの市民運動・住民運動、全国的な大学闘争などの多様な社会運動に総合的に光を当てたものです。これらの運動は、戦後の平和と民主主義、そして高度経済成長や公共性を押し立てた開発計画のあり方、広くは戦後日本の政治的・経済的枠組みを「問う」ものでした。この時代に噴出した「問い」はいまなお「現役」としての意味を持ち続けています。また、1960年代後半は、日本の社会運動が、それまでの組織的な問題設定・問題解決の方式から、「個」の主体性を重視する特徴を強く顕し始める転換期でもありました。人々は様々な問題に対し異議を唱え、あるいは改革を要求する声を、各自の居場所で、多様な形態であげていったのです。こうした新しい社会運動のスタイルは後の時代にまで大きな影響を与えました。
「1968年」は、この時代の象徴的な出来事である東大闘争や日大闘争といった学生運動が活発に行われた年でした。本展は、当時を象徴する資料約500点を展示し、「1968年」を中心としたこの時代の多様な運動をより総合的に紹介することで、この時代の運動の意味を探ります。
「四千万人を殺したインフルエンザ」はコロナが話題になり始めた頃、
有名な読書家が推奨していた本で、読み始めたのですが長すぎて途中で断念。
こちらも古本しかないようで、もう一度借りて読みたいです。
そして、瀬地山角著「ジェンダーとセクシャリティで見るアジア」を
読んでいる時に知った本が「BLが開く扉」。
氏は上野千鶴子氏と並んでジェンダー論の第一人者です。
あの超面白かったTVドラマ「おっさんずラブ」を見るまでは
BLという言葉も腐女子という言い方も知らなかったけれど、
この本を読んでBLがいかにアジアの若い世代に
影響を与えているか納得しました。
BLは政治的であり個人的だ
BLはアジアでは独自の変容を遂げ、大きな社会的影響力を持っていた。
BL分析から見えるアジアの現状と日本の特異性――
世界のBL、LGBTQ、マンガ研究の第一人者たちがいま解き明かす。
主な執筆者
ジェームズ・ウェルカー/石田仁/金孝眞/シュウ・ヤンルイ&ヤン・リン/長池一美
/藤本由香里/トーマス・ボーディネット/堀あきこ/守如子/ワン・ペイティ
「政治」(学生運動)と「医学」(感染症)と「社会学」(ジェンダー)
これら一見して別々と思われる分野が、まさに今の世の中の
タイムリーな話題としてリンクしている。
連休中、これらの本を読みながらワクワクしてしまいました。
観世会素謡会で「鞍馬天狗」を謡う&文章教室で「ラブレター」を書く
昨日(22日)に続いて今日も(23日)忙しかった。
観世会新春素謡会にて能「鞍馬天狗」の
後シテ(大天狗)を謡う。
鞍馬寺にて修行する義経の前に大天狗が現れ、
弟子になることはどういう事かを
中国の故事を例えに語って聞かせる。
♪ そもそもこれは~
♪ 鞍馬の奥僧正が谷に~
♪ 年経て住める大天狗なり~。
全て「どっしりと」と肩書きがあるように
低く、腹の底から声を出さなければならず、
終わったらどっと疲れた。
午後は恩師が主催する文章教室へ。
今月のテーマは「ラブレターを書く」
こんな照れ臭い行為は苦手なので
スルーしようかなと思ったけれど、
あにはからんや、書き始めたら
スラスラと筆が運ぶ。
・・・・・「お早うございます。」
朝のウオーキングで、あなたと声を交わすたびに
胸がドキドキ、すっかり目が覚めてしまいました。
・・・・・・・・・・。