島崎繁明さんの島桑指物
東京の桑物師の中で、戦後静岡へ戻ってきた江戸指物職人が島崎敏夫さんです。
現在、伊豆下田市で息子の島崎繁明さんが島桑や脂松材の指物を作っています。
島崎さんは指物とともに刳物が得意で、ノミや小カンナを自在に使い
独自のスタイルの木工芸品を生み出しました。
写真は島桑の二膳入箸箱です。
3×6×30cm程の角材を彫り込んで、前後を丸くし、蓋にふっくらとカーブをつけてある、みごとな箸箱です。
開けるときは、胴の溝をスーッとなめらかに、しかもゆるみなく、蓋がすぺってゆく。
その感覚が他では絶対まねの出来ない、島崎さんの指物です。
たぶん、これはお父さんの島崎敏夫氏作ではないでしょうか。
こちらは八角胴張茶入。茶道の時に使う棗の一種です。
薄い、しかもカーブしている板を八面びったり合わせるのは至難の技。
そして、八角の蓋をする時のふわっとした空気の流れこそ指物ならではの味わい。
左が小判型、右が長方型。ともに携帯用硯箱です。
墨、筆、硯がセットになっていて、何処でも一筆したためることが出来ます。
これら八角胴張茶入と2つの携帯用硯箱はイギリスのお客様から注文頂き、お送りしました。
島崎さんの島桑指物は、静岡県の伝統工芸品に指定されている脂松細工とともに
JR静岡駅「駿府楽市」にて見ることが出来ます。