こんなひどい能公演みたことない!

掛川城開門20周年を記念して開かれた薪能公演。

謡いのおさらい会で謡った「土蜘蛛」が演目だったので、

能仲間の人と一緒に行ってきました。

5月10日、その日の夜の天気予報は「雨」。

当然、雨の場合の予備に設けられていた掛川生涯学習センターでの公演に変更。

と思って、主催者に問い合わせたら、予定通り掛川城外の広場でやるという。

私は万一のため、折畳傘とレインコートを持ってJRで掛川へ。

静岡では降っていなかったけれど、掛川駅に着く頃は雨がポツポツ。

掛川城薪能会場へ行くと、係員がチケットを切り簡易レインコートを配っている。

会場内へ入ると、傘は差せずレインコート姿の観客と、シートが被せられた能舞台が。

暫くして主催者の挨拶、火入れの儀式と続き、シートが外されいよいよスタートの気配。

雨はますます激しくなる。

・・・・としばらく間があって、アナウンスあり。

「雨が激しくなりました。外での能公演が難しくなりましたので、

 午後8時より掛川生涯学習センターでの公演に変更します。

 つきましては皆さま、移動をお願いします。」

幸い掛川城から歩いて10分程の所にある施設なので、皆さん無事移動完了。

また、午前中学生向け能楽教室があり、施設内の能舞台もそのままだったので、

すぐに再開することが出来ました。

しかし・・・。

「皆さま、申しわけありません。終演時間の都合で、最初の舞囃子「羽衣」は割愛し、

 狂言「梟(ふくろ)山伏」から始めさせていただきます。」

「えええ・・・???」観客席からどよめきが。

私もあっけにとられていたのですが、ともかく狂言「梟山伏」が始まりました。

そして、休憩なしで能「土蜘蛛」の舞台の準備が万端整いました。


 胡蝶「浮き立つ雲の行方をや♪ 浮き立つ雲の行方をや♪・・・」

と始まると思いきや・・・

 頼光「昨日より心も弱り身も苦しみて。今は期を待つばかりなり♪・・・」

との第一声ではありませんか。

「えええ・・・???」私は再び声を上げそうになってしまいました。

胡蝶登場の、最初の部分がすっぽり抜けている!!!。

友人も唖然とした顔をして舞台を見つめていました。

実は一緒に行った友人は、おさらい会で胡蝶の役を謡い、

今回の能公演で実際の舞台を確認するため、チケットを買ったわけです。

幸い私の役、僧侶(前シテ)と土蜘蛛(後シテ)はカットなしだったので、

その部分の舞台は楽しめたのですが・・・。

それにしてもひどい!!

雨が降ったら何よりも、お囃子(はやし)の楽器は使えない。

高額の能装束も、雨では台無しになってしまう。

そんなことも考えずに、雨の舞台を強行しようとした主催者の罪。

私はアンケートに

「観客も出演者も大迷惑でした。

 二度とこういう過ちは犯さないでください。

 反省、大反省、お願いします!」

と書いて、雨の降りしきる道を掛川駅に戻りました。

それにしても、悪いことは連鎖反応するんですね。

興奮した感情が記憶を覆ってしまって、

持参したレインコートを椅子の下に忘れてきてしまいました。

でも、問い合わせた主催者側の係はものすご〜く親切な対応でした。

こんなコト書いちゃってゴメンナサイ。

それと、途中からの能「土蜘蛛」が熱演で、沸かせたのが不幸中の幸いでした。

出演者の皆様、お疲れさまでした。