春宵一刻値千金

 春宵一刻値千金     (しゅんしょういっこく、あたいせんきん)
 花有清香月有陰     (はなにせいかあり、つきにかげあり)
 歌管樓臺聲細細     (かかんのろうだい、こえさいさい)
 鞦韆院落夜沈沈     (しゅうせんいんらく、よるちんちん)

 

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春の夜の一刻は千金に値する
清らかな花の香りとおぼろげな月
歌と管弦を奏でていた楼台も今はひっそりとしている
鞦韆(ぶらんこ)のある中庭に少女たちの姿はなく夜はひっそりと更けててゆく

中国宋代の詩人・蘇軾作「春宵」の超有名な詩ですね。
今、まさにその時、心が躍る季節になってきました。



能「田村」の謡いの中でも、この漢詩が謡われます。


 シテ・ワキ ♪春宵一刻価千金。花に清香。月に影。

 シテ    ♪げに千金にも。かへしとは。今此時かや。
 地謡    ♪あらあら面白の地主の花の景色やな。
       桜の木の間に漏る月の。
       雪もふる夜嵐の。
       誘ふ花とつれて散るや心なるらん。


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昨年の春、岡諷会にて能の謡い「田村」のシテを謡わせて頂きました。
今年は能「田村」の仕舞に挑戦します。
数少ない勝ち修羅の名曲です。