やるせなきおスタイル
今月は、NHKBSで日本映画の巨匠、成瀬巳喜男監督の映画が何本か放映されています。
先日も、「稲妻」と「あにいもうと」が放映されました。
「浮雲」「めし」「乱れる」など代表作は見ていますが、傑作の誉れ高い「稲妻」は今回初めて見ました。
映画「稲妻」も、高峰秀子扮する若い娘が、男女の愛憎、金銭のからみなど、
どうしようもない家族や親戚のしがらみにうんざりし、そこから逃げだそうとする定番のストーリーです。
なさけない人物ばかり登場し、愚痴や言い訳のオンパレード。
こんなうざったい映画を共感を込めて見られるようになったのも、
私も年を取って、多少の人生経験を経たからでしょうね。
日本映画の黄金時代を築いた三巨匠小津安二郎、黒澤明、溝口健二監督の陰に隠れて
目立たない存在だった成瀬巳喜男監督が、近年脚光を浴びています。
彼独特の語り口と題材の傾向から、成瀬巳喜男をもじって「やるせなきお」とも呼ばれました。
若い頃はスタイリッシュな三監督に夢中になっていましたが、今では断然、成瀬巳喜男ファンです。