ホスピタリティの見本/家具マーケティングセミナー
たいへん有意義な家具のマーケティングセミナーに参加しました。
講師は、仙台の小売店「家具の大丸」の社長、大村正氏。
家具への愛情が溢れる、素晴らしいお話しで、1時間半がアッと言う間でした。

森の都仙台の青葉区本町は、私も何度か通ったことがある家具の街。
かつて14店あった家具屋さんは、現在5店。かわりにニトリも大塚家具もこの町に進出。
その中で、小売業としての店の特徴をどう生かしていくか。
大村社長の奮闘記が語られていきます。
第1のコンセプトは Simple & Warm
今でも多くの業者の考える売れ筋三原則は、「重い」「でかい」「色が濃い」。
つまり、消費者は重厚で存在感がある家具を求める傾向が多いと判断している。
でも、賢くまじめ生活者は、その存在より身の丈にあった使える家具を求めている。
緊張より弛緩、心も体もホッとしたいインテリアに関心が向いている。
第2のコンセプトは Quality & Concept
接客の中で必要なのは、さめた目と商品科学が必要。
神は細部に宿るというように、良いデザインはディティールが大切。
低価格志向は、販売の現場からプロが消え、モノの善し悪しの判断基準を解らなくする。
結果、まっとうな生産現場を疲弊させ、かけがえのない技術の消滅を招いている。
そして、彼は言っています。
たとえインテリアに限っても、質の高い情報の発信は立派な社会貢献です。
成熟した社会は、メーカーブランドだけでなく、そのカスタマイズが必要です。
自分の買い物に真面目に考える人に対して、徹底的に援護射撃をしたい。
大型店の進出で、地域の商店の存在価値を見いだせないでいる多くの小売屋さん。
海外からの安価の家具があふれて、伝統に培われた技術を捨てていくメーカー。
でも、氏の話から見えてくるのは、求めている人へのホスピタリティの大切さ。
低価格だけではない家具の魅力を、作る人(メーカー)も売る人(小売り)も、
そして、使う人(生活者)も巻き込んで、伝えていきたい。
ぎっしり厚い講義内容を読みながら、丁寧に説明する大村社長を見て思いました。
こういう、まっとうなお店が全国にあれば、いい家具はもっと日の目を見ると思います。
そして、そういう家具を誇りをもって製作するメーカーが、増えていくと思います。