11月はじっくり文芸本を/辻邦生著「西行花伝」
いつの間にかすっかり秋も深まり、もう今年もあと2ヶ月。
9月の猛烈な残暑の中、展示会にハシゴをかけて、
駆け回っていたのも、遠い昔のよう。
11月の朝の冷えた空気に、ようやくゆとりを取り戻したこの頃。
そういえば今、まさに読書週間。
なにか急に、じっくり文芸本でも読みたいとの思いが募って、
実はこの本、朝日新聞土曜朝刊「be」の「再読・こんな時こんな本」で見つけた。
その週の特集は、私が一番あこがれているテーマ、「隠居原論」だった。
隠居とは・・・?
いわば無用の人のことである。
経済利益の飽くなき追求と、競争原理を善とする物質文明の、域外へ踏み出している。
しかし、無用であるがゆえに変幻自在に生きられる。
・・・・・・・
「したくないことはしない」、これこそ「隠居」の真髄である。
義理や義務のしがらみを断ち切った超自己中心の境地へ。
もめごとなくそこへ没入するには、その生き方を「芸」の域まで磨くしかない。
「朝日新聞be・再読こんな本こんな時・より」
う〜ん、いいですなぁ。あこがれですなぁ。
夢想でもいいからそんな生活を目指して、隠居原論おすすめ本から選んでみました。
23歳のとき、この世の無常を感じて僧になった歌人、
西行の生涯をたどった歴史大作小説。
読者の約4割が50代以上、そうのうち6割が男性の読者。
出家して歌の世界で自己解放した西行の生きる姿に、
中高年男性がずっと引きつけられている。
私もそのひとり。
「文庫版を読み始めて、その文字の小ささに往生しながらも、
美しい文体と、和歌に魅了されながら、じっっくり噛みしめて読み進めています。