「最強のふたり」の後日談のような/映画「愛、アムール」
2012年度アカデミー賞外国映画賞受賞
その他、世界の映画賞を総なめした希有の傑作。
・・・との評判高い、フランス映画「愛、アムール」を
県内唯一の上映館、浜松シネマイーラで見てきました。
パリの高級アパルトマンで悠々自適の老後を送る音楽家の夫婦。
満ち足りた夫婦の日々は、ある日、妻の発病で暗転する。
妻の願いを汲んで自宅へ連れて帰り、献身的に支える夫。
その日々の営みをミヒャエル・ハネケ監督は丹念に追っていく。
洗練された室内の描写と奥深いダークトーンに包まれた画像。
J.L.トランティニアンとI.ユベール二大名優のかけがえのない存在。
人間の終末を追って、愛の喜びと苦悩をひたすら観客に問うていくハネケ監督。
この映画、献身的な「老々介護」のような話のレベルではない。
愛し憎しみ、すべての生涯をお互いのために尽くしてきた2人が、
最後は死を前にして、応分の覚悟を決めなけれぼならない。
「痛い、苦しい」と苦悩の表情の妻に対して、夫は医者のように冷静でいられるかどうか。
映画は残酷とも言える、真実の姿を描いて終わりとなる。
余談だけれど、「愛・アムール」を見て、「最強のふたり」を思い出した。
生きることに前向きなふたりに、映画は私たちに希望を与えてくれた。
しかし、死が訪れる時、あのふたりはどんな知恵を持って、
毎日を送ることになるだろうか?
まさかこんな終わり方にはしないだろうけれど、
同じフランス映画だからよけいに興味津々となった。
だからこそ、「愛、アムール」は「最強のふたり」が大ヒットした
静岡「シネギャラリー」が、当然上映しそうなものだけれど、
数ヶ月先の予定にすら載っていない。
シネギャラリーさん、どうなっているの?
・・・・と思っていたら、5月11日(土)より、
静岡東宝会館で上映予定のようです。
ああ、よかった。
ぜひ、妻をつれてもう一度見に行こう。