東西の宗教観が混在したようなホラー/日本映画「淵に立つ」

日本映画「淵に立つ」(深田晃司監督)

凄い映画だった。

そして、何よりも怖かった。

日曜日のシネギャラリーの夜の部は私が1番の番号札。

30分ほどロビーにいたけれど、誰も来ない。

このまま、一人でこの映画を見ると思うとぞっとした。

そのうち男性3人が入場して来たので、安心したけれど・・・。


地方都市で小さな金属加工工場を営みながら

平穏な暮らしを送っていた夫婦とその娘の前に、

夫の昔の知人である前科者の男が現われる。

奇妙な共同生活を送りはじめる彼らだったが、

やがて男は残酷な爪痕を残して姿を消す。

8年後、夫婦は皮肉な巡り合わせから男の消息をつかむ。

しかし、そのことによって夫婦が互いに心の奥底に抱えてきた

秘密があぶり出されていく。

輪廻は巡り孫子の代までも、みたいな仏教的世界。

罪と罰、人間の原罪を描いたキリスト教世界。

そのどちらからものアプローチが混在して、

お気楽日本映画とは程遠く、監督、俳優を含めた、

真剣勝負を、襟を正してみるような映画。

身から出た錆とも言える不幸に撫でられているような主人公たち。

イラつき困惑し疲れ果ててしまう役どころの俳優たちの演技が凄い。

ひと気の少ない沈んだような地方都市の描写と

人間に覆いかぶさるような自然に囲まれた田舎の雰囲気も見事。

死へ追い込もうとする悪霊から必死で逃れようともがく

ラストの主人公たちの姿が感動的だ。

第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門・審査員賞受賞

静岡シネギャラリーで11月25日まで