えっ! 2万円の盆が120万円!?
土曜日の午後、「今、テレビで、島桑の事をやっているから見て!」という、知人からの電話。
さっそく、放映中の「開運!なんでも鑑定団」を覗くと、島桑の盆が鑑定に掛けられている。
目測で長さが尺五寸(45cm)位の長方形の島桑の盆。「桑明」という名が刻んである。
島桑は木材の中でも、国産材では最高位に属する銘木。
島は伊豆の御蔵島、三宅島を差し、島産の桑は最高の用材として江戸指物家具で珍重されてきた。
又、桑を扱う職人を「桑物師」「桑樹匠」と呼び、最高の技能者として別格扱いした。
明治時代以降活躍した三宅島出身の前田桑明氏は、その草分け的存在で、
その後、多くの弟子を持って江戸指物黄金期を築いた人である。
さて、鑑定依頼人は「桑明」の刻印のある盆を2万円で購入したそうだが、
その盆の、今の価値はどの位あるのだろう。
島桑材、前田桑明作、ならばそれなりの価格は出るだろうと思ったが、なんと、評価額は120万円!
私の家でも父の代から島桑材の家具は作ってきたので、それなりの判断は出来る。
正直いって、棚や箱に比べそれ程難しい仕事ではない盆。
杢目も、色つやも出演者が言うほど美しくは見えなかった。
それでも、「桑明」作ならそうなんだな〜と、何となく半信半疑で、釈然としなかった。
ちなみに写真の盆は下田市で指物仕事をしている伝統工芸師、島崎繁明氏の作。
サイズ 25cm×18cmで島桑の無垢材をノミやカンナでくり抜いて仕上げた長方角丸盆。
10年近く前に分けてもらった物で当時5万円位だったと思う。
杢目が大味な所が残念だが、
デザインの繊細さ、仕事の難しさから言って、私ならこちらの方が良いと思う。
骨董にはそれほど興味がないので、あの盆が120万円の価値があるのか理解出来ない。
その値段で買う人はいるのだろうか?