木にこだわらない。
先日出張の折、銀座にある、桜製作所のショールームを見てきました。
「桜製作所」は、クラフトマンの師でもある、ジョージ・ナカシマの家具を受け継ぎ、
日本で、製作し続けているメーカーです。
高級材オールナットをふんだんに使い、その木目や、そのままの木の形を生かした、
テーブル、椅子、棚、キャビネットの数々。
その木の育ってきた、壮大な歴史を感じさせる家具に仕上がっています。
傷や割れ、腐りやすく虫の入りやすい耳(木の皮に近い部分)も、
そのまま残して、自然な木の息づかいを感じさせる部分。
スポーク、格子模様など、人の手が加わり、繊細さを生かした部分。
その、ほどよい調和が、アメリカで生まれた日本人という、
ナカシマ氏の特徴を生かしているのではないでしょうか。
私も、若い頃はジョージナカシマの家具に憧れ、
小田急ハルクの家具売り場に出かけたり、氏の個展を見にいったものです。
ただ、多くの家具を見て楽しんだり、学んできたこの頃は、
ジョージナカシマスタイルの家具も、one of them だなあ、とつくづく思ってしまう。
いや、むしろ、私の求めている家具は違うような気がします。
2月上旬、静岡でも、桜製作所の方のセミナーがありました。
多くの家具関係者が参加して、盛況だったようですが、
私自身、それほど興味がなかったため、聞かず終いでした。
桜製作所もまた、ジョージナカシマから離れて、オリジナル製品に力をいれているようです。
日本や李朝の暮らしのアイテム、デザイン、ノウハウを取り入れた家具が最近見られる。
新しい「文房シリーズ」など、その顕著な例ではないでしょうか。
家具屋として、木材は財産であるけれど、それだけがすべてではない。
金属も、土も、ガラスも、布も、インテリアの要素として、十分吟味する。
木に覆い尽くされることなく、家具が出過ぎることなく、
バランスの取れた、空間作りを提案して行きたいと思っています。