家具の事

指物 old and new

「アーツ&クラフツ展」を見た後、東京谷中で開催されてる「江戸指物展」に向かいました。 春の彼岸の谷中界隈は墓参りの人出が多く、商店街もお祭り状態でした。 数坪の小さなギャラリー「木楽庵」も指物展に来た客で、大賑わい。 丹精込めた指物家具、調度…

超ハッピーな一日

たぶん、2009年3月12日は仕事人の私にとって記念すべき日になるでしょう。 ・家具が文化であることを再認識したことにおいて。 ・新しい「吉蔵」の方向性を見たことにおいて。 ・「吉蔵」のブランドが確立できる可能性があることにおいて。 3月12日午前。 …

東求堂というしつらい

京都、銀閣寺の東求堂に同仁斎という書斎があります。 書斎の北側に設けられた付書院と違棚は現存最古の座敷飾りで、 書院造や草庵茶室の源流と言われています。 現在の私たちの暮らしは洋間中心で、和室は数少なくなっています。 また、椅子に座ることが多…

家具屋ブロガーがんばろう!

一昨年暮れ、家具青年部が中心になり、ほんださん(ほんだダイアリー)を講師に迎えて、 30名ほどの組合員とともにブログの学習を始めました。 その後、それぞれのメーカーが、eしずおかブログを利用して、 ビジネスブログを立ち上げました。 私たち家具メー…

雛人形に八角膳

普段、お茶や食事の膳として使用している八角膳や八角盆。 この季節になると我が家ではお雛様を飾る展示台に変身します。 李朝膳を元にした八角膳は大(二人膳)と小(一人膳)があります。 我が家の内裏びなのサイズが、それぞれ23cm×17cmなので、 八角…

商人と職人の間

2月10日は午後と夜、2つの講演会のはしごをしました。 まず、最初は静岡県工業技術研究所で行われたビジネスセミナー。 「開発技術者に必要なマーケティングの基礎知識」 講師はキャノン、スター精密のマーケティングに携わり、現在は上記研究所主幹の加藤…

優等生コンソール/pick up our works

米子高島屋で、「創作家具工房展」がはじまりました。 我が工房「吉蔵」は今回が初参加。 搬入とディスプレーを兼ねて前半が妻のアテンドで、後半が私。 まず、初日にどんな反響があるか、私は静岡で緊張しながら待機していました。 昼過ぎに、まず最初のお…

黒柿とおかや木芸さん

黒柿の家具をご存じでしょうか。 和家具の世界では、黒柿は風雅な趣があり、通好みとしてたいへん珍重されています。 我が工房でも、祖父や父の時代に座鏡台、和茶棚等、製作していたようです。 その黒柿を専門に扱い、小物から家具まで製作しているのが 島…

Christmas Style by MINIKASHIKO

吉蔵・工房展・2008が終わりました。 年末の忙しい中、たくさんのお客様にお越し頂きました。 皆様、ご来場ありがとうございました。 さて、今日はクリスマス・イブ。 2007年度グッドデザイン賞を受賞したZISHI KASHIKOを1/5サイズにしたMINI KASHIKOで、 季…

島桑の和針箱/pick up our works

「吉蔵」の島桑指物家具の中で、和針箱は今でも人気があります。江戸指物の定番であります。 そして、指物家具の技術で基本となるのが和針箱の製作です。 30数cm四方の四角の箱の中にやらなければならない仕事がどっさり含まれています。 静岡の職人さんは…

続・海外見本市出展のためのコンペに挑戦!

sozo_commの一次審査は書類のみで、審査料はゼロ。 二次審査になると、現物を展示し審査が行われるので、審査料が10、500円掛かります。 ただ、会場が狭く、一社あたり180cm×45cmの事務机の上のスペースしかなく、 製品によっては応募製品の内1〜2点しか…

海外見本市出展のためのコンペに挑戦!

インテリア関係の企業が目標とする海外展示会はサローネ(ミラノ)かメゾン・エ・オブジェ(パリ)。 その、二大インテリア見本市のどちらかに参加するための選考会がありました。 社団法人国際家具産業振興会が主催し、経済産業省の補助を受けて実施されて…

四方棚&文匣/pick up our works

李朝家具が生まれた朝鮮半島。 日本と同じ、床座文化(靴を脱ぐ)ですから、生活もよく似ています。 ただ、我が国が床の間、押し入れ等が住宅にセットされ、家具と住宅が曖昧なのに比べ、 李朝では、なにもない空間に置き家具を配置し、生活の道具としていま…

my best furniture/C・C「ラブチェア」他

100回目。 my best furnitureはイタリア家具と李朝家具からひとつづつ。 チェコッティ・コレッティオーニ社 「STORICA D.R.D.P」(ラブチェア) イタリアの技術とセンスを代表するような家具だと思います。 こういう有機的なデザインは苦手だけれど、 この二…

サランバンチェア/pick up our works

これから「秋の室礼展」まで、折にふれて私たちの製作する家具について紹介させていただきます。 まずは、李朝時代の家具のアイテムにはなかった「サランバンチェア」について。 お隣の朝鮮半島の李氏朝鮮(李朝)時代は約500年。 日本で言うと、室町時代から…

想いを新しいカタチに繋げる

住宅を新築したり、引っ越したりするとき、 今ある仏壇をどうしたらいいか相談を受けることがあります。 私たちは仏壇の業者ではないので、特に一般的にはこうするという例はありません。 それぞれの方、それぞれの事情で千差万別だと思っています。 だいぶ…

カタログデザインの達人たち

マッケンジー邸や杓子庵で撮影した画像が、 その後我が社のカタログやリーフレットに使われて行くことになります。 予算の乏しいなか、ほとんどが家具を気に入って下さった方々の好意で進められていきました。 いずれカタログ作りの時に必要になるから、 名…

杓子庵にて

静岡の藁科川上流、新間地区に中勘助記念館「杓子庵」という古い民家があります。 東京出身の中勘助という作家が、戦時中静岡のこの地に疎開して、執筆活動を行っていました。 夏目漱石に絶賛された「銀の匙」という、子供の世界を描いた小説が有名です。 私…

マッケンジー邸にて

静岡市高松の海岸近くにある、白壁のしゃれた西洋建築。 かつて、茶貿易商であったマッケンジー夫妻が住んでいた住宅で、有形文化財の建物です。 大分前になりますが、ここで、静岡市の企画で開発した、新作家具の撮影をしました。 また、同時に我が社の李朝…

家具屋が買った椅子(3)

我が社では、ダイニングテーブルについては特に定番はなく、サイズオーダー家具としてきました。 そして、そのテーブルに合わせる椅子については、椅子のメーカーの物を勧めてきました。 そのひとつが、イタリア製の牛革、ドイツで製造しているこの椅子です…

家具屋が買った椅子(2)

この椅子、名作椅子に入るかもしれない。 買った当時、私が知らなかっただけで、超有名な椅子なんですよね。 今でこそ、外国で活躍する日本人デザイナーは珍しくありませんが、 なんと1960年代にイタリアに渡り、そこで家具製造者ディノ・ガヴィーナの会社と…

家具屋が買った椅子(1)

世の中で言う、いわゆる「名作椅子」。 それはそれで素晴らしいけれど、すでに多くの人に語り尽くされているし、 零細企業のオーナーには縁のない物なので、ここでは私が好きで買った海外の椅子をご紹介。 あこがれのチェコッティ・コレッティオーネ社の椅子…

シズオカ[KAGU]メッセ 雑感

シズオカ[KAGU]メッセが4日から始まりました。 吉蔵は三越展示会のため、メッセには出展していません。 今回は改めて、来場者としてメッセの会場をゆっくり拝見させていただきました。 ミラノサローネより古く、半世紀以上も前から続いている静岡の家具見本…

吉蔵の島桑指物/厨子編

吉蔵も数十年前から、島桑指物家具を製作して来ました。 もちらん、江戸指物に準ずる和家具も色々ありますが、最近は、島桑の厨子に挑戦しています。 厨子の部分と下台のコンソールの部分に分かれています。 コンソールの扉を下ろし、仏具を置く事が出来ます…

島崎繁明さんの島桑指物

東京の桑物師の中で、戦後静岡へ戻ってきた江戸指物職人が島崎敏夫さんです。 現在、伊豆下田市で息子の島崎繁明さんが島桑や脂松材の指物を作っています。 島崎さんは指物とともに刳物が得意で、ノミや小カンナを自在に使い 独自のスタイルの木工芸品を生み…

恩田勝哉さんの島桑指物

恩田勝哉さんは現役の桑物師の中でも、 最も多く島桑材の家具を作っている江戸指物職人さんです。 元々は静岡の出身だそうで、静岡ならではの新しい技術を指物仕事に持ち込みました。 今では当たり前ですが、銘木の無垢材をスライスし、 きょうぎ状にした物…

粋の文化/江戸指物家具

国の伝統工芸品に指定されている江戸指物家具。 町人文化と共に発達し、旦那衆、歌舞伎役者、花柳界など、粋人に好まれた木工芸品です。 桑、献保梨、キハダ、塩地材など、美しい木目生かした端正な造形美と、 職人技術の粋を集めた堅牢な作りが特徴です。 …

えっ! 2万円の盆が120万円!?

土曜日の午後、「今、テレビで、島桑の事をやっているから見て!」という、知人からの電話。 さっそく、放映中の「開運!なんでも鑑定団」を覗くと、島桑の盆が鑑定に掛けられている。 目測で長さが尺五寸(45cm)位の長方形の島桑の盆。「桑明」という名…

ハイテクとローテクの共存/ミラノサローネ2008詳報セミナー

一度は行ってみたい、あこがれのミラノ・サローネ。 今年のwhat's newは、atelier Su’さんのブログ(連載中)と、 ホームファッション・コーディネーター堀和子さんの報告で目下、情報収集中。 新宿OZONEで行われた、「ミラノサローネ2008詳報セミナー」に参…

立って祈る厨子・腰掛けて拝む龕室

仏壇や厨子に安置するご先祖さまに向かって手を合わせるときはどんな姿勢ですか。 床や畳に正座して。イスに腰掛けて。または立ったままで。 家の中の場所や身体の状態によって、あるいは向かっている時間によっても違いますね。 こちらは我が社の新しいタイ…